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5日前に・・・ほか6話

公開日: : 最終更新日:2018/04/16 日記



5日前に

突然の訃報、家内は狼狽える、そう、実弟が亡くなったのだ。

とても寒い日、休日の家内は私と二人コタツでくつろいでいた。
昼過ぎ家内の携帯が鳴る、はい、私です、どうしましたか?

このやり取り、会社からかな?
休日でも忙しいんだなあと思いつつTVに見入ってる私。

エッ! 家内の声が急に大きくなる。
職場で何か不都合でも起きたか? 聞き耳立てる私。
うん、うん、分かった、すぐ行く、家内の電話が終わった。

実弟が亡くなった、今、病院へ搬送されてるんだって。
何っ!、私の声が大きく響く、まさかでしょう。
現場で、同僚が気付いたとき、一人で倒れていたとか。

とにかく、病院へ行こう!
着の身着のままとはこのこと、家の爺婆に留守頼む!の一言。
驚く様子を後に、車中の二人。

冗談であってほしい、嘘であってほしい、
走馬灯のように流れる込んでくる国道のグレー色が重苦しい。

途中、街中の交番に入り、病院を確認する。
切迫した面持ちで病院を尋ねる私。言わずとも、関係者の方ですか?
さすがに警察の方、察知のプロ。
と、同時に、訃報は現実味を帯びた瞬間でもあった。


分かりやすく説明された警官に序(つい)でごと。
どんな様子だったんですか?
個人情報なのでという言葉に、悪しき事件ではないなと分析する私。


車に戻り、通り過ぎた旨家内に告げ、交番からUターン。
説明された最初の信号を右に曲がり、
500m程先左に目指す病院が見えた。


駐車に慌てふためく私、どこに止まるの!ホラそこ空いてると家内。
コイツ(家内)以外に冷静だな、なんて思いながらハンドル切り直す私。
まばらの圧雪に転ばぬよう、足元見ながら二人で玄関に。

中では、涙顔の家族が待機していた。
遺体の検証を行っているとのこと、死亡診断書が出された。
死因は心臓死、普段血圧が高かったという、

お願いした葬儀屋さんが遺体を自宅まで搬送してくれた。

自宅には夜遅くになっても親族、
近所の方々が知らせを聞いて駆けつけてきた。

あまりに突然のことに、涙の対面が続いた。



5日前にその2  

翌日、
午前には菩提寺の住職と打ち合わせ、葬儀屋さんも帯同して。

お布施は金額が特に明示されているわけではない、
和尚曰く、いくらでも・・。

こちら側の提示額に、十分な額でございます、和尚が頷く。
お通夜は会館で、葬儀法要はお寺で、日程は固まった。


午前の打ち合わせが終了して、午後から納棺、
始めて見た、納棺師のお仕事。


納棺師は20代とも思えるイケメン。
何の縁があって、この若者が職としているのか?
ふと思ったりした。


集まる親族の前で、静まる親族の前で、納棺の支度は進む。
これからこの支度に入ります、この支度の意味はこうです、
納棺師さんがその都度説明を入れてくれる。
いちいち頷く親族。


これから、親族様のお手伝いをお願いします。
代わる代わるお手伝いする親族、最後に足袋をはかせ、終盤。

これから、髭をそります。
次に髪型を整えます、生前の髪型はどんなでした?

遺影の通りにお願いします、家族からの声。

支度は整いました、これから納棺します、男手をお願いします、
納棺師さんから最後のお願いが・・・。
頭側のお棺に枕がおかれる、男手6人で亡骸をささえお棺に収めた。

口々に言う、笑ってる(微笑)、笑ってるようなあ!
驚きである、納棺師さんが事前にお顔を整えてくれていたのだ、
すごい技だなあと皆感心。




5日前にその3  

夕方になると、棺(ひつぎ)はお通夜会場に運ばれた。
祭壇、棺の周りには沢山の生花、太い線香が焚かれ、
両脇に大きな蝋燭が灯される。


運転免許証から拡大されたという遺影写真、
早世に無念さが伝わってくるような・・。

お通夜は明後日の夕方、息子と友達が今晩も亡骸と夜を共にする。

葬儀のお知らせ配付先、
いわばご法事依頼者である近所・親戚の名簿作りが始まる。
私に名簿をまとめろという。


文字スタイルは金釘流、それで良しという承知入りで・・・。
周りのああだこうだと飛び交うご意見。
一々確認しながらの作業、父方、母方があって、中々面倒。


このお知らせ、
早くにお配りすると、日程を間違ったりするという配慮?から、

私的には早めが良いと思うも、お通夜の前日が良かろうとなった。
ご法事参列者がほとんど年配者という地域柄が垣間見えた。

合わせて、位牌、お骨、写真他を携える葬列表、お寺生花位置図、
弔電読み上げ順表などが同じ状況(ああだこうだの意見)で
作成されてゆく。


コピーを3部取り、1部は葬儀屋さん、
残り2枚は私と親族世話役の方が持った。


翌日、お知らせを道に詳しい同じ集落の親族の方と私で、
車・徒歩にて配付。


昼から2時間ほど掛かっただろうか、どの家も、
この朝に降った雪を綺麗に除雪している。

除雪せぬまま家を出た私が恥ずかしい。

役目を終え帰宅した私、家前では手作業で細々雪かきがされていた。
ビニールハウス周りも爺さまが頑張ったようだ。
除雪せぬまま家を出たこと詫びながら、
さっそくトラクターにて本格除雪作業、2時間ほど時間を掛け終了。

この日の夕刻には遠路より故人の妹夫婦も駆け付けるという。
宿泊可能な会館で故人の息子とともに1夜を明かすという。

明日はお通夜、
準備やらで朝から会館に集合しなければならない。

出来るだけ疲れを取らなければならない。
早めに床につく、が、中々眠れない自分だった。


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5日前にその4  

お通夜は会場席一杯だった。
和尚さんが遅れて到着、ヤキモキさせられた。
しめやかにお経が始まり、参列者合掌、
手渡された教本数ページを合唱。
喪主挨拶、奥さんが立ち合いの元、息子が挨拶。


立ち上がりよろける、挨拶の途中に苦痛の顔、
必死に耐えてる、膝に来ていたらしい。


膝がじんわりぼうぼうとなって大変だったようだ、
なれない膝立、他人ごとではない、
何かしらの方法がないものかと思う。


どうなんだろう? 最初から胡坐をかくとか、失礼かな?
自分だけ膝いすでは、参列者に失礼だろうし、
こりゃあ、最初からいす式の会館を選ぶしかないね。

お通夜後の会食、故人を偲ぶ席である。
近所の衆、親族の方々とそれは賑やかなものであった。
私も一献、知らずに座ったとなりの席が、
何と息子(故人の)の嫁さんのお母さんであった。


若いなあ、よく娘さんと姉妹と間違われません!?
そんなこと~、はにかむ様子にまんざらでもなさそう。

お酒も結構いける、旦那さんは下戸だとか。
よく一人で居酒屋に行くとか。
私と鉢合わせもアリですね、冗談を言いつつ故人を偲ぶ。


後かたずけを済ませ、家内の運転で帰宅、今日の余韻がまだ残る。
会館では、
故人の奥さん、妹夫婦が最後の一夜を明かすこととしている。


明日は、火葬、葬儀、ご法事だね。
受付けの責任者として1時間前セットで忙しいだろう。

この日も何とか早めの就寝に努力、
まだ葬儀に事件が起きること知る由もない。




5日前にその5  

通夜会館から火葬場に向かう出棺法要は10時から営まれた。
火葬受付のため私は若い衆数人を引き連れ早めに火葬場へ、
火葬場の受付は寒かった、申し訳ないが防寒着での応対。

ほどなく、リムジンが到着。故人が生前に車好きだったことから、
葬儀社が用意出来る最上の霊柩車が用意されたのだ。
家内も遺影を持って乗車したはず、
後で乗り心地聞こうっと、いや、そんな余裕などないか。

火葬前のお経が始まった、受付の若い衆も交代で拝んでもらった。
火入れが始まり、遺族・ご法事出席者の面々は控え室へ。
昼ごはんを食べ、午後2時から始まる葬儀の寺院へ向かう。

マイクロバス移動の参列者の大方は
アルコールが入り、骨拾いまで待機してる。
オレも飲みたいなあ、羨ましさをグッとこらえて12時半には出発。


目指すお寺は、
途中までの道のりは分かる、が、その先どうも自信がない。
グーグルマップを印刷した地図、助手席に乗った故人の
妹婿殿に渡しナビらせる。


やはり、途中で道に迷う、後から付いて来た車2台を巻き添えにする。
後続車に乗っていた、故人の娘婿殿、スマホでナビっていた。
一旦本通りまで戻り、線路沿いの道路から入るのが分かりやすいの意見、
さすが自衛隊幹部養成隊員だけある、アッタマいい。

印刷したグーグルマップにもその道路が
印刷されていることは確認していた。
近道をしようとした右折左折の田んぼ道(農道)の
コース取りが迷った要因。


大回りだが確実性が早道、メンツも何のその、
そうだね、と素直に意見に従う。
線路沿いの道路を北上すると、すんなりお寺に到着、

やはり何ごとも急がば回れだね。



お寺の玄関を入ったところに受付をセット。
下駄箱前にお寺が用意した靴札があり、
各自のセルフサービスとなっていた。


大きい方を靴に挟んでおき、小さい方を引換券として
自分が持っているという仕掛けだね。


葬儀予定時間を過ぎること20分、
2度ほど参列者にお詫びのアナウンス、参列者の方々は、
辛抱強いというか、笑って頷いてくれた。


本堂は、暖房もよく効いて、椅子式でもあり、
ある種の心地よさが幸いしたようだ。


お骨と遺族・ご法事出席者のマイクロバスがやっと到着。
遅くなりましたと恐縮して詫びる葬儀屋さん。
そうだよ、2回も詫びながら遅れをご案内したんだぜ、
と軽くおちょくる私。


葬儀のお経が聞こえてくる、時間も経過して始まったことから、
もう受付に来る人は無しと判断。さあ、あなた達(受付の若い衆)も
葬儀に出て拝んでくださいと促す。


大きな紙袋に受付簿、御霊前、筆などをまとめ車に保管、
追いかけ私も葬儀に参列した。


葬儀が終わり一般の参列者の退席後、
遺族・ご法事出席者による初七日の法事が執り行われた。
こういう組合せの葬儀方法もあるんだね、お寺でも最近の合理的?
時勢柄を反映してるのかな?

葬儀に比し少ない時間で初七日の法事は終わった。と、その時、
葬儀屋さんが血相を変えてバタバタと私に駆け寄ってきた・・。


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5日前にその6  

怒ってるんだよ!
誰が?
誰かが靴をはき違えて行ったんだよ!
どうしてくれる? 責任者を呼べ!って
動詞のみの対話が続く。

責任者って言ったって、お前が(葬儀屋さん)責任者だろう!
ここでやりあっててもしょうがない、
とりあえず、当時者のもとへ駆けつける。

そこには、初老の紳士が立っていた。
興奮も幾分収まった様子。
お詫びしながら名前、住所、連絡先を確認、
靴はリーガル製だと言う。高けェ靴、ヤバい! 一層慎重になる。

残った靴の確認、今日の参列者あて確認照会やらしますので、
時間をください、としか今は言いようがない。

私どのようにして帰ったらいいんでしょうか?・・・そりゃそうだ。
お寺から履き捨てのサンダルを提供頂き、その場を何とか収める。
丁寧に見送り、ご帰宅頂いたという次第。



そんなこんなのバタバタ、その場で頭を整理してると、
付け法事(ご法事後の会食)が始まります、
早く席に座ってください。
ここでまた、慌てふためく葬儀屋さんに促される。


はあっ~!?、何でお前に催促されなきゃならん?
苦々しく思いながら2階の会場へ。


付け法事出席の皆さんはすでに着席していた。
私が着座するのを待っていた様子。

心の中では、始めていればよかったのにと思いつつ、
すみません遅くなりました、しょうもなく詫びている私。
ちょっと理不尽。


喪主挨拶後会食が始まって、ビールを飲み干すも、
先ほどの出来事が尾を引く。

さて、この後始末どうしたらよいものやら、
うまく、はき違えた方が申し出てくれればいいが・・・。

そこへ、
家内が付法事出席者から預かった幾ばかのご霊前を私に差し出す。

これ預かりました、あなたのお仕事(受付)最後まで全うしなさい!
あっけに取られる私、語気を強めたピシャリの追い打ち。

すでに、受付簿の類は故人の家族に渡してるし・・・、
御免とばかり、受付簿の追記依頼とご霊前をそのまま家族に
手渡すしかなかった。


マイクロバスから降りた葬儀・ご法事出席者は、
庭先で行列して3回半の輪巡りを行い、

そのまま本堂に上がったことから受付は通らなかったいう訳。
そんなことから会食前にご霊前を出す方が多々。

想定外とは言えタイミングも悪かった。
私が玄関でバタバタしてる最中だったから、

ご霊前まとめてくれた親戚の方には感謝です。

さて、
靴履き違いの件・・・道義的にも被害者の自己責任はないだろうなあ。

そう思いながら、頃合いをみて、事の次第を故人の家族に報告。

参列者一人々の確認はとても無理でしょう、
しいては、葬儀社、お寺、主催者(家族)にて折半しか
ないだろうのアドバイス。


いやはや、少し強引とも思えるアドバイス、
責任逃れの感がしないでもない私。


この事件に対しては、後日、報告なり相談があるだろう、
その際は、受付者の手前、折半に加わるもやむを得ないだろう
との思いもあって。(あれから、5日たった今、音沙汰は何もない。)


結局この日、家族には2つの大きなお願いをした格好。
名簿にご芳名を記帳して整理して下さい、
靴のはき違えの後始末があります・・・と。

お酒が進むにつれて、そんなこともいつの間にやら頭から消えて、
遺族・親族・ご近所の面々に、お疲れさまとお酒を注いで回ってる私。

お開きとなり、マイクロバス組が帰ると、さすがに会場はガラン。
一人、応接の間で吸うタバコに、やっと終わったなあと深い感慨。


そのうち会場の後片付けも終わり、帰宅の段、
故人の妹夫婦、娘と子供さんを宿泊するホテルまで送ることとなった。

私の車だけでは、目一杯、荷物が付くだろうか?
幸い、お手伝いに駆けつけてくれた、私の息子の嫁さんの車がある、
2台に分乗してお寺を後にした。

途中、故人の家に寄ってお休みなさいのご焼香。
そこでは何と、線香代わりにタバコを立て、
2人で対話してるかのごとく息子の姿があった。

会社現場での突然の心臓死のもと、早世した義弟の供養。
今日も色々あった、運転手の家内、息子の嫁さんありがとう、
ご苦労さん




5日前にその7  

帰宅後、息子の嫁さんからいただいたメールが何とも心を打った。

今日はありがとうございました。

声を掛けていただいたおかげでお母さまの
ご親戚の皆様にご挨拶できましたし、
叔父さんに最後のお別れをすることが出来ました。

運転手くらいしかお手伝いできませんでしたが、
僅かながらもお役に立ててよかったです。

いただいたお芋(焼き芋)は
早速○○(1歳児)のお夕飯になりました。

あまりの美味しさに一心不乱に食べております。

スプーンを奪い取ってかじりつき、ペロリと平らげました
本当に甘くておいしい芋ですね。
ご馳走さまでした。

今日はお母さんもお父さんも
お疲れでしょうから、ゆっくりお休みくださいね。

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